長すぎず、短すぎず、絶妙なボリュームで物語の世界にどっぷり浸れるのが「20巻以内で完結する中編漫画」の魅力。
「巻数の多すぎる長編はハードルが高い、でも数巻の短編では物足りない…」そんなあなたにぴったりの名作を厳選しました。
この記事では、10巻〜20巻で完結するおすすめ漫画をジャンルを問わずご紹介します。
ストーリーの満足感も、一気読みのしやすさもバランス抜群!
初めて読む人にも手に取りやすい「ちょうどいい中編漫画」ですので、まだ読んでいないものがあれば、ぜひお試しください。
[漫画(記事中用)]20巻以内完結のおすすめ中編漫画10選!
銀の匙 Silver Spoon
- 作者:荒川弘
- 2011年発表
- マンガ大賞2012など
- アニメ化
- 全15巻
「銀の匙 Silver Spoon」は、進学校から一転、農業高校に進学した少年・八軒勇吾が、酪農や農業の世界で奮闘しながら成長していく青春物語。
舞台は北海道の大蝦夷農業高校。畑違いの環境で悪戦苦闘しつつも、自分の居場所や生き方を見つけていく姿が描かれます。
本作の魅力は、何といっても“本気の青春”が詰まっていること。
部活や恋、将来の進路、そして命と向き合う経験まで、高校生活のすべてを全力で過ごすキャラクターたちがまぶしく、読んでいて思わず「こんな学生生活、うらやましい…!」と感じてしまいました。
また、酪農のリアルな描写も本作の見どころ。
牛の出産や鶏卵の生産、食品加工の授業など、日常の中に学びと発見があふれていて、気がつけば酪農や農業に興味を持っている自分がいました。
読んでいて、ふと「研究してみたい」「商売してみたい」と思わせてくれる力もあります。
キャラクターも個性派ぞろいで、むしろ主人公がいちばん地味に見えるほど。
でもその分、彼が少しずつ成長していく過程にしっかりと感情移入できます。
農業系漫画としては『もやしもん』と並ぶトップクラスの完成度。
ジャンルを超えて、多くの人の心に刺さる一冊です。
ローゼンメイデン
- 作者:PEACH-PIT
- 2008年発表
- アニメ化
- 全11巻(番外編込み)
「ローゼンメイデン」は、引きこもりの少年・桜田ジュンと、意思を持つ美しい人形たちとの出会いから始まる、幻想的なバトルファンタジー。
ひと癖もふた癖もある“ローゼンメイデン”と呼ばれる人形たちが繰り広げる「アリスゲーム」は、美しさと残酷さが同居する独特の世界観に満ちています。
本作の魅力はまず、その“妖しい美しさ”。
登場するドールたちは、普段の性格はドジだったり天然だったりしますが、いざというときはどの子も気品に満ちていて、ただ可愛いだけではない独特の存在感を放っています。
繊細なタッチの作画もまた、それぞれのキャラクター性や物語の緊張感にぴたりとマッチしていて、思わずページをめくる手が止まりません。
また、ファンタジー世界の構築がとても丁寧で、現実と非現実のあわいを漂うような感覚を味わえます。
物語が進むごとに、キャラクターの内面にも深く踏み込んでいくので、読み終えたときには静かな余韻が残るのも印象的でした。
ちなみに、本作はアニメ(+ドラマCD)もあるのですが、このアニメは漫画と印象が大きく異なっていて、まるで別作品のよう。
でも、アニメも最高なので、漫画にハマったら、ぜひアニメもあわせて楽しんでみてください。
ばらかもん
- 作者:ヨシノサツキ
- 2009年発表
- アニメ化、実写ドラマ化
- 全19巻
「ばらかもん」は、書道家として伸び悩んでいた青年・半田清舟が、五島列島の小さな島に移住し、島の人々との交流を通じて成長していく日常系コメディ。
都会での生活にメンタルが落ちて親主人公が、のびのびと暮らす島の空気に戸惑いながらも少しずつなじんでいく様子が、優しい笑いと温かさに包まれて描かれています。
本作の魅力は、何といっても“癒し”の力。
大きな事件や波乱は少ないけれど、島の子どもたちとの素朴なやりとりや、地元の人たちとの不器用ながらも心の通う交流が、読み手の心にじんわり染みてきます。
特に、主人公が子どもたちと接することで少しずつ前向きになっていく姿は、見ていてとてもほっこりしました。
また、テンポのよい会話劇と島ならではのゆるい日常が心地よく、気軽に読めるのもポイント。
爆笑というより“クスッ”と笑えるシーンが続いていて、読んでいるうちに自然と笑顔になれるんですよね。
ページをめくるごとに、読者までのんびりした空気に包まれていくような感覚が味わえます。
読後には「島暮らしって大変そうだけど、ちょっと憧れるかも…」なんて気分にも。
疲れたときにそっと寄り添ってくれるような、そんな一冊です。
岳
- 作者:石塚真一
- 2005年発表
- マンガ大賞2008年受賞など
- 実写映画化
- 全18巻
「岳」は、山岳救助ボランティア・島崎三歩を主人公に、過酷な山の現実とそこに生きる人々のドラマを描いた山岳ヒューマンストーリー。
雪山での救助活動を中心に、命の重みや自然の厳しさ、そして登山者それぞれの人生が交差していきます。
本作の魅力は、“山の美しさと怖さ”の両方を真正面から描いているところ。
雪に覆われた山々の静けさや、吹雪の中の緊迫感が丁寧な描写で伝わってきて、読んでいるだけで手に汗を握ります。
高所恐怖症の自分は、想像しては「ヒュッ」となり、思わず「もう雪山には一生行かない」と誓ったほど。
それでも不思議と、山に惹きこまれていく感覚があるのがこの作品のすごいところ。
また、医療ドラマとは違った視点で、人の命について考えさせてくれるのも、本作の魅力の1つ。
ヒューマンドラマ系の漫画が好きな方には、かなり推したい一作です。
約束のネバーランド
- 作者:白井カイウ、出水ぽすか
- 2016年発表
- このマンガがすごい!2018のオトコ編第1位受賞など
- アニメ化、実写映画化
- 全20巻
「約束のネバーランド」は、孤児院で平和に暮らしていた子どもたちが、ある日、自分たちの“運命”に気づき、命を懸けて脱出を図るダークファンタジー。
可愛らしい絵柄とは裏腹に、衝撃の展開と緻密な頭脳戦が連続する、サバイバル要素の強い作品となっています。
本作の魅力は、なんといっても前半の孤児院(=箱庭)で繰り広げられる頭脳戦の完成度。
閉ざされた空間で、知恵と心理戦を武器に大人や環境に立ち向かっていく展開には、思わず息を飲みました。
主人公・エマたちの行動の裏で動いていた計画が姿を現すラストにも驚かされましたが、個人的に前半の密度の高さがあまりに秀逸で好みです。
また、物語を牽引するエマの変化も注目ポイント。
最初は理想主義で、甘すぎる考えをもっていた彼女が、厳しい現実に打ちのめされ、いろんなもの切り捨てることを強いられる。
でも、絶対に捨てらないものを再確認し、そこから本当の意味で強くなっていく。
彼女のそんな姿には心を打たれましたから。
ヒナまつり
- 作者:大武政男
- 2013年発表
- アニメ化
- 全19巻
『ヒナまつり』は、念動力を持つ少女・ヒナが突如ヤクザの家に転がり込み、無表情な彼女と振り回される大人たちの奇妙な日常を描いたSF(?)ギャグ漫画。
未来から来たサイキック少女たちと、ダメな大人たちとの対比が絶妙で、笑えるのにどこか優しさもにじむ、不思議な読後感の作品です。
本作の魅力は、何といっても「SFっぽさのムダづかい」感。
世界観だけ見れば本格SFが始まりそうな設定なのに、フタを開ければご飯の取り合いや学校生活など、肩の力が抜ける日常コメディが展開されていきます。
この「ストーリーの立て方をわざと外してくる感」がクセになるんですよね。
また、作者の「間の取り方」は本当に天才的。
セリフのやり取りやコマ割りのテンポが絶妙で、大げさな演出はないのに、じわっと笑えて何度も吹き出してしまいます。
個人的に印象深いのは、物語が小学生編から高校生編へ移行したときの展開。
設定の軸がブレるかと思いきや、キャラクターたちの魅力はむしろ増し、より深く感情移入できるようになっていたのが驚きでした。
GUT’s
- 作者:風堂じゅん
- 2014年発表
- 全18巻
「GUT’s」は、情熱的なプレーで勝ち上がる主人公・赤井魔球磨の姿を描いた、異色の熱血テニス漫画。
テニスというと爽やかさやスタイリッシュなイメージを思い浮かべるかもしれませんが、本作はまさに「地と泥の混じったような熱さ」が魅力。
読んでいると、スポーツというよりバトルに近いエネルギーを感じます。
そのため、本作の特徴は、とにかく「脳筋寄りの熱量」。
テニスの技術や駆け引き以上に、「気合いで打ち返す!」「気迫で押し切る!」といった精神論が前面に出てくる展開が多く、敵キャラもいつの間にか熱くなっている。
なんなら、当初頭脳派だったキャラですら、気づけば脳筋よりのノリがたまりません。
また、相手の強力な必殺技を、主人公が工夫と根性で突破口を見出していく、少年漫画的の燃え展開が多いのも本作の特徴。
テニス漫画好きだけでなく、少年漫画好きな人にも刺さる作品だと思っています。
おいピータン‼
- 作者:伊藤理佐
- 2003年発表
- 講談社漫画賞少女部門受賞など
- 全17巻(続編あり)
「おいピータン‼」は、恋愛、仕事、家族、そして料理まで、日々のちょっとした出来事をユーモラスかつ温かく描く一話完結型のオムニバス日常漫画。
主人公・ピータンこと大森さんと、彼女の渡辺さんを中心に、さまざまな人々の日常を軸に、少しずつ数年単位で時間が進んでいく作品です。
この作品の最大の魅力は、「なんでもない日常を楽しく見せてくれる視点」。
普通の恋愛や、何気ない食卓の風景、職場での小さな出来事などを、「ちょっと変わった視点」から切り取って見せてくれることで、読んでいるこちらの日常まで少し面白く思えてくるのが不思議。
また、視点の多様さも見どころのひとつ。
主人公やヒロインだけでなく、サブキャラ、年配の人、さらには猫など動物の目線からも語られるストーリーがあり、それぞれの立場から見た世界がとても豊か。
ちょっとした価値観のズレや気づきが、短いエピソードの中にギュッと詰まっています。
作者の伊藤理佐さんは、他の作品でもそういったことが得意ですが、本作ではその特徴が特によく出ています。
ちなみに、連載が一度休止して再開したあと、作風が微妙に変化しています。
でも、読み進めていくうちにこの世界観がどんどん好きになっていき、そこにたどり着いたころには本作のことが大好きになっているので、結局どちらも好きとなるのですが。
肩の力を抜いて、くすっと笑いたいときにぴったりな一冊です。
アクタージュact-age
- 作者:宇佐崎しろ、マツキタツヤ
- 2018年発表
- 全12巻
「アクタージュ act-age」は、天才的な演技の才能を持つ少女・夜凪景を中心に、演劇の世界に生きる人々の葛藤と成長を描いたヒューマンドラマ。
演劇漫画というジャンルの中でも、ここまで「表現すること」に真っ向から向き合った作品は珍しく、連載当時から毎話毎話ストーリーが進むのを楽しみにしていました。
本作の魅力は、「極まった人間たちの衝突」。
常識や倫理観さえ振り切ってでも「いい作品を創りたい」という執念がキャラクターたちに宿っていて、その熱に触れているだけでドキドキします。
こういうテーマは、ストーリーや作画が拙いと空回りしがちなのですが、本作はその両方が高水準。
だからこそ説得力と迫力があったのだと思います。
また、印象深いのは、「銀河鉄道の夜」編の幻想的な美しさと、「西遊記(羅刹女)」編に込められた情熱。
繊細に美しく描いたかと、劇も登場人物たちもドロドロと感情を煮詰めたような熱さを描く、この多彩さはなかなか見られるものじゃないと思います。
個人的に、連載が途中で終わってしまったことが本当に残念でなりません。
それでも、描かれた12巻ぶんの物語には確かな力があり、今でも時折読み返したくなるほど印象に残っています。
ダンジョン飯
- 作者:九井諒子
- 2015年発表
- このマンガがすごい!2016第1位受賞など
- アニメ化
- 全14巻(設定集などでその後の描写アリ)
「ダンジョン飯」は、モンスターを調理して食べながらダンジョンを攻略するという、一風変わった設定の“グルメ×ファンタジー”漫画。
最初は「モンスター料理?ネタ寄り?」と思いきや、読んでみるとその料理が想像以上に美味しそうで、気づけば空腹を刺激されてしまいました。
前半はグルメ要素が主軸。
冒険の合間に現地調達で食材(モンスター)を集め、調理方法を工夫しながら、いかに美味しく食べるかを真剣に追求していく様子は、まさに「架空のアウトドア飯」。
一方で、後半に進むにつれて物語は一気にファンタジー色を強めていきます。
背景や世界設定の作り込みがより濃密になり、キャラクターの過去や魔法の構造、ダンジョンの成り立ちにまで踏み込んでいく、前半とはまた違った楽しさが味わえます。
個人的に、前半のグルメ路線を期待して読み始めたので、前半と後半を比べたら前半の方が好みなのですが、それでもラストの完成度の高さには心から感動しました。
オリジナリティにあふれている上、「ダンジョン飯」らしさが感じられつつ、メンバーたちの未来への前向きな姿勢が描かれていて。
作者の九井諒子さんのことは、デビュー作「竜の学校は山の上」の頃から描く独特の世界観が絶妙で好きでしたが、ここまですごい作品をまとめ上げたことには感動させられましたよ。
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おすすめ20巻以内完結のおすすめ漫画まとめ
以上、20巻以内で完結したおすすめ漫画を紹介してきました。
超有名作から、そんなに知られていない作品まで入っていると思います。
- 銀の匙 Silver Spoon
- ローゼンメイデン
- ばらかもん
- 岳
- 約束のネバーランド
- ヒナまつり
- GUT’s
- おいピータン‼
- アクタージュact-age
- ダンジョン飯
思いつくままに書いたので、おすすめ漫画はまだまだあり、また良いのがあれば、追記していくと思います。
以上、【20巻以内完結漫画おすすめ10選】絶妙なボリューム感!中編の名作を一気読み、でした。
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よくある質問(Q&A)
Q1. 漫画初心者におすすめの「20巻以内完結作品」はありますか?
はい、初心者におすすめなのは、テンポがよく感情移入しやすい作品です。たとえば『銀の匙 Silver Spoon』や『約束のネバーランド』は、読みやすさとテーマの深さのバランスが取れており、初めての漫画読者にも評価が高いです。
Q2.電子書籍でも20巻以内の完結漫画は探しやすいですか?
はい、電子書籍ストアでは「完結済み」や「巻数で絞り込み」などのフィルターが用意されているため、20巻以内の完結漫画も探しやすくなっています。また、完結作品はセールの対象になることも多く、お得にまとめ買いしやすいのもメリットです。
Q3.20巻以内で完結する漫画にはどんな魅力がありますか?
20巻以内で完結する漫画は、物語のテンポがよく、サクッと読めるのが最大の魅力です。ダラダラと長引かず、構成が洗練されている作品も多く、読後の満足度も高い傾向があります。読み切りや短編と比べてストーリーの深みもあり、「ちょうどいいボリューム感」として人気を集めています。
Q4. 20巻以内で完結する漫画は物足りないと感じることはありませんか?
逆に「もっと読みたい!」と思わせるほど濃密な展開が魅力です。無駄な引き延ばしがない分、読者の印象に残りやすく、再読したくなる作品も多いです。「物足りなさ」より「満足感」を感じる人の方が多いのが特徴です。
Q5.少年漫画と青年漫画では、どちらの方が20巻以内で完結しやすいですか?
一般的には青年漫画のほうが、比較的短い巻数で完結する傾向があります。一方、少年漫画は人気が出ると長期連載になることも多いため、20巻以内で完結するケースはやや少なめ。ただし、近年は少年漫画でもストーリー重視でスッキリ終わる作品も増えています。
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