「長すぎず、でも物語にはちゃんと深みがあって、最後まで一気に読める。」
そんな「ちょうどいいボリューム感」の漫画を探している方にぴったりなのが、10巻以内で完結する漫画です。
ある程度の巻数があるので物語に広がりがあり、かといって途中でダレることもなく、スムーズに読み切れる名作がたくさんあります。
ジャンルも恋愛、青春、ファンタジー、サスペンスなどさまざまで、気軽に読めるけど満足感はしっかり。
この記事では、6~10巻で完結するおすすめ短編漫画10選を厳選してご紹介。
「読みごたえはほしいけど、あまり長いのはちょっと…」という方は、ぜひチェックしてみてください!
10巻以内完結のおすすめ漫画10選!
寄生獣
- 作者:岩明均
- 1989年発表
- 講談社漫画賞など
- アニメ化、実写映画化
- 全10巻
「寄生獣」は、密かに人間社会へと溶け込んだ“寄生生物”との共生と対立を描くSF漫画。
突如として現れた未知の存在・ミギーに右手を乗っ取られた高校生・新一は、ミギーとの奇妙な共生生活を送ることになります。
そして、脳まで侵された他の寄生生物たちとの戦いに、否応なく巻き込まれていくことに。そんなところから始まる物語です。
本作の最大の魅力は、物語のスタートからラストまでの完璧な構成。
無駄をそぎ落としながらも、登場人物それぞれにしっかりとした物語を与え、深みがあるのに読みやすい作りになっているのが本当にすごいです。
10巻という限られた巻数で作られたとは思えないほど、しっかりとした物語が完成されているんです。
また、随所に現れるヒューマンドラマ要素も、本作の魅力になっていますね。
戦闘を軸にしている漫画でありながら、単なるバトル漫画に終始していません。
倫理や感情の葛藤、人間とは何かという本質的な問いかけが、ミギーという人間以外の視点を通して静かに描かれています。
また、重厚なテーマを扱いながらも、ユーモアや温かさを含んでいる点も印象的。
とくに、新一とミギーが少しずつ信頼関係を築いていく様子は、どこか心を和ませてくれます。
考えさせられるけれど重すぎない。そんな“濃度のあるエンタメ”を求めている方にこそ読んでほしい傑作です。
PLUTO
- 作者:浦沢直樹
- 2003年発表
- 手塚治虫文化賞マンガ大賞など
- アニメ化
- 全8巻
「PLUTO」は、「鉄腕アトム」をベースに、SF×ミステリーの視点から再構築された異色のリメイク作品。
物語は、アトムの視点ではなく、ユーロポールの刑事・ゲジヒトを主人公に据えて進行。
次々と姿を消すロボットたちと、それに関わる謎の連続殺人事件を軸に、緊張感のある物語が展開されていきます。
まず何よりも、本作は発想自体が秀逸です。
あの子供向けの作品として作れられた「鉄腕アトム」を、ミステリー調をベースに、哲学的な物語に仕立てあげようと思ったことに圧倒されますね。
事件の背後にある思想や、ロボットと人間の境界を問うテーマが随所に盛り込まれており、読んでいるうちに自然と深く考えさせられる場面が多くあります。
また、視点の取り方も絶妙。
ゲジヒトという“アトムではない存在”から世界を描くことで、この世界に新たな角度から入り込むことができましたから。
後、序盤から中盤にかけて展開は、間違いなく名作中の名作のそれ。
何が起こっているのか掴めない不穏さが続き、先の読めない展開にページをめくる手が止まりません。
もちろん、終盤の怒涛の展開も圧巻ですが、個人的には序盤~中盤の緻密な構成こそが、本作を名作たらしめていると感じました。
サスペンス要素と人間ドラマ、そして深いテーマ性が融合した、“読むたびに発見がある”傑作です。
BLUE GIANT
- 作者:石塚真一
- 2013年発表
- 全10巻(続編あり)
- 小学館漫画賞など
- アニメ映画化
「BLUE GIANT」は、音のない紙の上で“音”を鳴らすことに成功した、圧巻の完成度を誇るジャズ漫画。
世界一のジャズプレイヤーを目指し、地元で一人サックスの練習を続けていた主人公・宮本大が、東京にでてその一歩を踏みしめるところから物語は始まります。
演奏シーンの描写はまさに異次元。
ページをめくるたびに、音が聞こえてくる錯覚に陥るほで、全力で演じているキャラクター達だけでなく、読んでいるこちらまで気づけば心拍数が上がってしまう。
そんな没入感を演奏シーンで味わえるのが本作の最大の魅力になっています。
特に4巻で描かれる、主人公の音と仲間の音が一体になる場面は必見。
自分も音楽をやってみたいと思えるほど、心が震えました。
ジャズや音楽の知識がなくても、何かに打ち込んだことのある人なら必ず共鳴できる熱さと臨場感。
そして、その感情の振れ幅をきっちり紙の上に落とし込める技術力。
物語も絵も構成もすべてが高水準でかみ合っており、読書中に現実を忘れるほどの完成度です。
気づけば読み終えるまで一気に走り抜けてしまう、そんな作品です。
ちなみに、本作は東京を舞台に描かれた全10巻で完結する物語ですが、その後、世界に挑戦する主人公を描いた続編も刊行されています。
ただ続編は、舞台や仲間、環境が大きく変化し、さらには主人公のキャラクターさえ微妙に異なって描かれているため、本作を10巻で一応の区切りのついたシリーズという風に扱い、「全10巻以内完結の漫画」としてこの記事で取り扱いました。
とはいえ、続編も非常に完成度が高く、本作を楽しめた方にはぜひ読んでほしい作品です。
若さゆえの衝動をぶつけるような本作とは異なり、やや落ち着いたトーンの中に、変わらぬ情熱が静かに燃え続けているのが印象的。
東京での経験を経て少しだけ大人になった主人公の成長が感じられる、こちらも名作です。
僕だけがいない街
- 作者:三部けい
- 2012年発表
- マンガ大賞ノミネート、アニメ化・実写映画化・Netflixドラマ化
- 全9巻
「僕だけがいない街」は、時間を遡る能力“リバイバル”を持つ主人公・悟が、過去に戻り、母の殺害事件と小学生時代の誘拐事件の謎を追うサスペンス漫画です。
物語は、現在と過去を行き来しながら進み、緊張感のあるストーリー展開が魅力。
一見ファンタジー要素の強い設定ですが、描かれるのは極めて人間的なドラマ。
子どもながらに事件の真相に迫っていく悟の姿は、切なくも力強く、読み手の感情を大きく揺さぶります。
また、伏線の張り方と回収の見事さも特筆すべきポイント。
9巻という短さでここまで完成度の高い構成に仕上げたのは、圧巻の一言。
読み終えたあとに“あのセリフはそういう意味だったのか”と気づくシーンも多く、二度三度と読み返したくなる名作です。
ハチミツとクローバー
- 作者:羽海野チカ
- 2000年発表
- アニメ化・映画化・ドラマ化
- 全10巻
「ハチミツとクローバー」は、美術大学に通う男女5人の青春と恋愛、将来への葛藤を描いた群像劇です。
恋が実らない切なさや、自分の進む道が見えない不安、仲間との絆──
誰もが経験するような“青春のままならなさ”が、繊細かつ丁寧に描かれています。
特徴的なのは、そのセリフ回しやモノローグの美しさ。
胸がぎゅっとなるような言葉が、ページをめくるたびに現れます。
登場人物それぞれが不器用で、だからこそ愛おしく、読者は自然と彼らに感情移入してしまいます。
全10巻とやや長めですが、終わり方も見事。
何かを失いながら、それでも少しずつ前に進んでいくラストは、静かな感動を残してくれます。
青春群像劇の金字塔ともいえる作品です。
蟲師
- 作者:漆原友紀
- 1999年発表
- 全10巻(特別編いれると11巻)
- 講談社漫画賞受賞など
- アニメ化、実写映画化
「蟲師」は、和風伝奇ファンタジーの傑作短編漫画。
主人公・ギンコを中心に、「蟲」と呼ばれる目に見えぬ存在と、それにまつわる人間たちの物語を描いた作品です。
本作の最大の魅力は、蟲による異変を中心に描かれるヒューマンドラマ。
どこか現実とは少しずれた世界観の中で、人々が抱える苦しみや想いが、静かに、そして丁寧に紡がれていきます。
悲しみをはらみながらも、どこか美しい余韻が残るエピソードが多く、読むたびに心が洗われたような気分になります。
また、淡々と進んでいく語り口と、墨絵のような風合いのある絵柄も魅力のひとつ。
派手さはありませんが、世界観とぴったり噛み合っていて、作品にじっくりと引き込まれていきます。
日本の伝奇的な物語や、しっとりとした静謐な雰囲気の作品が好きな方には、きっと深く刺さるはず。
最終兵器彼女
- 作者:高橋しん
- 2000年発表
- 全7巻(外伝入れると8巻)
- アニメ化、実写映画化
「最終兵器彼女」は、ラブコメ×鬱漫画というものすごい組み合わせに成功した作品。
全7巻という短さながら、心を揺さぶられる濃密なストーリーが詰まっています。
兵器として利用されることになった彼女と、それを目の当たりにするごく普通の少年。
そんな2人の関係が、わずかな巻数で急速に変化していく様子がとても印象的というか、とても絶望的というか…
可愛らしいヒロインが少しずつ壊れていく描写はショッキングですが、それでもなお恋愛要素が成立している点は見事。
重たいテーマを扱いながらもラブコメのバランスを崩さない構成力に、作者の手腕を感じます。
短編ならではのスピード感と感情の激しい上下運動が味わえる、ジェットコースーターみたいな漫画だなと思います。
作風は、きわめて静かなのに。
宙のまにまに
- 作者:柏原麻実
- 2005年発表
- 全10巻
- アニメ化、実写映画化
「宙のまにまに」は、個性豊かなキャラクターたちと美しい星空の描写が絶妙に融合した、天文ラブコメの名作です。
主人公・朔は、久しぶりに再会した幼なじみに誘われて天文部に入部することに。
そこから始まる部活動の日々は、ただの青春物語にとどまらず、「天文」というテーマにしっかりと向き合っている点が魅力です。
天体観測の基礎知識から星空の楽しみ方、望遠鏡の扱い方、さらには観測の楽しさと過酷さまで。
主人公が初心者ということもあて、天体観測に関するさまざまな情報が丁寧に説明されており、主人公が初心者ということもあって、これまで天体観測に触れてこなかった人でも読んでいるうちに自然と天文の世界へ引き込まれるようになっています。
また、天文部部員をはじめとしたキャラたちはそれぞれに魅力があり、無邪気に楽しむものもいれば、虚弱体質だけど天文に熱いものもいたりして、それぞれ違ったキャラ同士の掛け合いも本作の見どころの1つになっています。
特に合宿エピソードでは、キャラクターの関係性が一気に深まりつつ、リアルな天体観測の臨場感まで味わえる内容になっていてオススメ。
天文に詳しくなくても、キャラと一緒に楽しみながら学べる構成なので、天文初心者にもぴったりの作品です。
ここだけのふたり
- 作者:森下裕美
- 1998年発表
- 全10巻
「ここだけのふたり」は、元教え子と結婚した教師の夫婦を中心に、ちょっと変わった日常を描く4コマコメディ。
舞台はごく普通の団地/家庭と学校ですが、登場人物たちの個性がとにかく濃い。
天然で不思議な言動を繰り返すヒロインや、クセ強めの周囲の人物たちが巻き起こす小さな騒動の数々に、思わず笑ってしまいます。
といっても、ただ奇抜なだけではありません。
あくまで日常の延長線上で、絶妙にありえそうでなさそうなネタが展開されていくのが本作の面白さ。
1話ごとのオチもキレがよく、テンポよく読み進められます。
4コマ漫画にありがちなマンネリ感もほとんどなく、「よくこんな設定思いつくな」とその発想力には感心させられますよ。
また、クセはありつつも、笑いの方向性は比較的ソフトなので、人を選ばない安心感も本作の魅力ですね。
ちなみに、作者の森下裕美さんといえば「少年アシベ」で有名ですが、個人的に一番好きなシリーズは本作です
より濃いキャラクターたちによる自由奔放なやりとりと、随所に現れるクセが魅力となっていて、何度も読み返したくなる一作です。
やさしくしないで!
- 作者:松山花子
- 2004年発表
- 全6巻
「やさしくしないで!」は、ブラックユーモアが効いた日常系4コマ漫画。
主人公の優一は、驚くほど人にやさしく、常に他人のために行動できる心優しきサラリーマン。
しかし、どこか天然で、肝心な場面で絶妙にタイミングを外してしまうせいで、結果的に周囲にとんでもない迷惑をかけてしまうという不運体質なんです。
しかもやっかいなのが、優一の行動はどれも「本気で人のためを思ってやっている」ことが伝わってくる点。
だからこそ、周囲の人々も文句を言いたくても言えない、なんともモヤモヤした状況が生まれてしまうんです。
本作の面白さは、ただ笑わせるだけのギャグではなく、妙に物事の核心を突いてくるところ。
「あるある…」と共感できるだけでなく、ふと考えさせられるような鋭い視点にハッとさせられるエピソードが散りばめられています。
爆笑系というよりは、じわじわとクセになるタイプのギャグ漫画。
気づけば無意識に単行本を揃えていた、そんな不思議な中毒性を持つ一作です。
短編好きな方にはこちらもおすすめ
1巻完結漫画はこちら
【3巻以内完結漫画おすすめ10選】手軽に読めて満足度も高い短編セレクション
「もっと手軽に、サクッと読み切りたい」という方には、こちらの特集がおすすめです。
短いからといって侮れない、物語がギュッと凝縮された名作ばかりを厳選。
1巻という限られたページ数の中、それでも深いテーマや印象的な結末をむかえる作品たちがそろっています。
隠れた名作も多く、漫画通にも刺さるラインナップになっています。
5巻以内の短編漫画はこちら
【5巻以内完結漫画おすすめ30選】短くても傑作!珠玉の名作完結集
1〜3巻の超短編だけではなく、「もう少しボリュームがあって、じっくり読める完結漫画が読みたい」という方には、5巻以内で完結する漫画の特集もおすすめです。
4〜5巻完結の作品には、短編とはまた違った濃厚なストーリーやキャラ描写が魅力の名作が多数あります。
掲載作品はジャンルも幅広く、日常系からファンタジー、青春、ミステリーまで網羅。
気軽に読めて、読後の満足感も高い“ちょうどいい長さ”の名作揃いです。
おすすめ10巻以内完結のおすすめ漫画まとめ
10巻以内で完結する漫画は、短編を読みたいけど、長すぎるのはちょっと重い…という方にぴったりのボリューム感。
ストーリーの密度やキャラクターの成長、世界観の深さなど、短編と長編の“いいとこ取り”ができるジャンルとも言えます。
今回ご紹介した作品は、どれも中だるみなくラストまで走り抜けてくれる良作ばかり。
- 寄生獣
- PLUTO
- BLUE GIANT
- 僕だけがいない街
- ハチミツとクローバー
- 蟲師
- 最終兵器彼女
- 宙のまにまに
- ここだけのふたり
- やさしくしないで!
「次はどれを読もうかな」と思ったとき、気になる1冊が見つかっていたら嬉しいです。
以上で、【10巻以内完結漫画おすすめ】一気読み必至!物語が詰まった名作短編10選、でした。
▼他にも面白い漫画をお探しの方はこちらもぜひチェックしてみてください。
ガチで面白い漫画おすすめ55選!最近のから不朽の名作まで神漫画を厳選紹介
【3巻以内完結漫画おすすめ10選】手軽に読めて満足度も高い短編セレクション
【5巻以内完結漫画おすすめ30選】短くても傑作!珠玉の名作完結集
よくある質問(Q&A)
Q1. 10巻以内完結漫画の魅力とは?
A.長すぎず短すぎず、ちょうどよいボリューム感で読める点が魅力です。物語に深みや余韻を持たせながらも、テンポよく最後まで楽しめる作品が多く、初心者にも上級者にもおすすめです。
Q2.一気読みできる作品を探すときに注目すべきポイントは?
完結済みかどうか、巻数が手頃か、ストーリーが途中で中だるみしていないかがポイントです。今回のように10巻以内で完結している作品は、スピード感と満足感を両立しやすい傾向にあります。
Q3.10巻以内完結漫画はどんなジャンルが多いの?
A. 恋愛・青春・ファンタジー・サスペンスなど幅広いジャンルが楽しめます。自分の好みに合わせて選ぶと失敗が少なく、短期間で多くの名作に出会えるのも完結作品ならではの魅力です。
Q4. 電子書籍で10巻以内完結漫画を安く読むには?
A. セールやクーポンが豊富な「まんが王国」「Kindle」などの電子書籍サービスを活用するのがおすすめです。