「1巻で完結する漫画って、本当に面白いの?」そう思っている方にこそ読んでほしい、珠玉の名作を厳選しました。
読み切りだからと侮るなかれ。感動作から社会派、恋愛、ファンタジーまで、1巻だからこそ際立つ“濃さ”があります。
この記事では、読後に余韻が残るタイプを中心に、厳選した5作品を紹介。忙しい人、隙間時間に読みたい人にも最適です。
また、読み応えある「2巻・3巻完結漫画」や「5巻以内の短編漫画」へのリンクも掲載していますので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。
1巻完結のおすすめ短編漫画TOP3
1.さよなら絵梨
- 作者:藤本タツキ
- 2022年発表
- このマンガがすごい2023オトコ2位など
「さよなら絵梨」は、映像と現実の境目に悩まされる青年漫画。
ジャンプコミックスだし、普通でいったら少年漫画として紹介した方がいいんですが、この漫画はぜひ大人にこそ読んで欲しいので、青年漫画として紹介します。
読んでいる最中も、読み終わった後も、とにかく感情がグチャグチャにされ、考えこまされた作品ですからね。
最初は「面白い設定の漫画だな~」と軽く考えていたんです…
でも、これはどこまでが創作の話で、どこまでが本当にあった話なのか。
登場するキャラたちの本性は、本当にどうなのか。
なにも疑わずにいると、何度も騙され、裏をかかれながら読み進めることになっちゃいましたよ。
映像と現実の区別をつけることができず、正解がわからない。
だから、描かれているものをどう評価したらいいのかわからず、感情がひっきりなしに上下させられることに。
全1巻の漫画な上、独特なコマワリの関係上、情報量はそんなに多いわけはないのですが、ものすごく濃いです。
何度も読みなおすこと必至の超名作だと思いますね。
2.外天楼
- 作者:石黒正数
- 2011年発表
「外天楼」は、コメディの皮をかぶったSF×ミステリー漫画。
1巻全体を使って読者を巧みにひっかけてくる、計算された構成力がとにかく見事な作品です。
序盤は「あ、1話完結のギャグ漫画なんだな」と思わせるような展開が続きますが、中盤以降は空気が一変。
ラストに向かうにつて作品の色ががらりと変わり、グイグイ引き込まれていきます。
バラバラに思えたエピソードの数々が、まるでパズルのピースのようにカチッと噛み合い、最後には1枚の絵が完成。
「え?序盤のあれから、こんな結末になるの!?」と、初めて読んだときは驚かされました。
そして読み終わった後は、思わずそのまま2周目に突入。
最初見過ごしていた伏線や細かい仕掛けを確認したくなり、夢中でページをめくっていましたよ。
そのままにしておくにはもったいないほどの出来なので。
1巻完結とは思えない完成度で、何度でも読み返したくなる傑作だと思いますね。
3.邪眼は月輪に飛ぶ
- 作者:藤田和日郎
- 2007年発表
邪眼は月輪に飛ぶは、「うしおととら」「からくりサーカス」で知られる藤田和日郎による1巻完結のアクション短編。
見るものを殺す邪眼を持つフクロウと、1度はそれを撃ち落とし、再度立ち向かうことになった老マタギ。
彼らを中心に、緊張感あふれる濃厚な物語が展開されていく作品です。
1巻完結の漫画には、ストーリー密度の高いものも多いですが、本作はその中でも特に濃厚。
それでいて、「もっと巻数を増やしてほしい」とは思わない、不思議な満足感がある作品なんですよね。普通、濃厚な作品を読むと「もっと続きが読みたいな」と感じることが多いのですが。
始まりから伏線の張り方、そしてラストに至るまで、世界観の完成度が非常に高く、1巻で完全に仕上がっている結果でしょうね。おそらく追加エピソードがあったとしても、蛇足に感じると思うほどに。
さらに、個人的に印象的だったのは、物語のスピード感。序盤はやや静かに進行しますが、あるところまで来たら読む手が止まらなくなり、そこからは一気にラストまで飲み込まれてしまうような体験が味わえました。
1巻完結のアクション漫画としての完成度は極めて高く、読み切り漫画の魅力の詰まった1冊ですよ。
1巻完結のおすすめ短編漫画を紹介!
カラオケ行こ!
- 作者:和山やま
- 2020年発表
- このマンガがすごい2021オンナ5位など
- 実写映画、アニメ、朗読劇化
「カラオケ行こ!」は、住む世界がまったく違う二人の奇妙な交流を描いたヒューマンドラマ×コメディの短編漫画。
歌が上手くなりたいヤクザ(成田狂児)が、中学校の合唱部部長(岡聡実)とに歌唱指導をするという意外なスタートをみせる作品です。
本作は1巻完結の短編らしい短編になっていて、短編作品ファンにとってかなり好きな構成になっているのが特徴。
思わぬスタートから1つの山場に向かって徐々に盛り上がっていき、予想外の出来事によって、さらに予想外に結末に向かうという、非常に「らしい」構成になっていますから。
あるいは、青春系の邦画みたいな構成といってもいいかもしれません。
また、淡々と進む日常と狂児との距離が少しずつ縮まっていく過程が、短編なのに非常に丁寧に描かれているのも、本作の大きな魅力になっていますね。
そして、そんな風に丁寧に描かれた上で起こるラスト近くの距離感の変化は、意外性とともにぐっとくるものがありました。
後、個人的にツボだったのが、キャラデザインの熱量の差。
中学生・家族パート(父・晴美は除く)だとあっさりなのに、おっさんパートだとやたら濃くて、作者の好みが出たのかなと勝手に想像し、勝手に好感もっています。
好きなんですよ、自分の好きなキャラに熱量を燃やす漫画家さんって。
夕凪の街、桜の国
- 作者:こうの史代
- 2004年発表
- 第9回手塚治虫新生賞など
- 実写映画、ドラマ、舞台化
夕凪の街、桜の国は、不朽の名作「この世界の片隅で」(昭和19年)に続く戦後漫画。
昭和30年と平成17年の広島を舞台に、戦後に生きている人々の生活を描いている作品です。
戦争の爪痕がいかに残っているのかを、まざまざと見せつけてくれる作品で、読み終わると非常に考えこまされます。
戦争の影響は何十年というレベルの時間の経過では終わらないんだ。
(普通の女の子に影響を与えているあたり)遠い国の話なんかじゃないんだといったことを。
戦中を描いた「この世界の片隅に」とはまた違った印象を受ける漫画ですが、「この世界の片隅に」を見て感動した方にはぜひ読んでほしいですね。
RAIDEN-18
- 作者:荒川弘
- 2021年発表
「RAIDEN-18」は、「鋼の錬金術師」や「銀の匙~Silver Spoon~」の荒川弘の描くギャグ短編漫画。
死体改造愛好家のマッドサイエンティスト・タチバナ博士と、彼女に振り回されるクリーチャー「雷電18号」が、(だいたいタチバナ博士のせいで)不謹慎な事件に巻き込まれていきます。
とれとれ新鮮な死体1年分取り放題が優勝賞品のクリーチャー大会とか、「何を食ってたらそんなアイデアが出てくるのか、最高すぎる」と思ってしまった作品です。
現代に“変な進化”を見せてくれるエピローグも心をくすぐられましたし、「みんな少しずつクソ野郎ばっかで、いっそすがすがしい」と思えるキャラの破綻っぷりも素晴らしい。
テンションは終始ハイで、短編形式で正解だと頷けるほどの濃厚なギャグが詰まっています。
人によってはかなり好き嫌いがはっきりする作品だと思いますが、自分は大好きです。
金の国 水の国
- 作者:岩本ナオ
- 2016年発表
- このマンガがすごい2017オンナ1位など
- アニメ映画化
「金の国水の国」は、敵対する隣国に生まれた男女による恋愛物語。
こう書くと少女漫画の定番のようですが、ヒロインは美女というよりも愛嬌のあるお嬢様。
ヒーローは、香水の香りのしそうなイケメンというよりは、泥くさく男くさいようなタイプの男性で、一般的な少女漫画とはかなり雰囲気の違う作品になっています。
でも、決して色物というわけではなく、美しい世界観、お互いを穏やかに思いやる2人、ヒーローことナヤンバカルのかっこよさなどなど、非常に見どころが多い名作ですよ。
喜喜
- 作者:宇仁田ゆみ
- 2003年発表
「喜喜」は、宇仁田ゆみさんの初期の短編漫画集の1つ。
最近は「うさぎドロップ」をはじめとしたほんわかした作品が多くなっていますが、もともと宇仁田ゆみさんは、かわいいけどやっかいな女の子が出てくる作品をよく書いていたんです。
普通のラブコメには絶対出てこないような、だけど魅力的な女の子がでてくる。
これは、そういう作風の代表作の1つの短編集です。
自由奔放で癖のあるヒロインたちも、彼女らに振り回されながらも、絶妙なバランスで支える相方の男性キャラたちも、どちらもとにかく魅力的。
激しい恋愛というより、どこか日常の延長にあるような不思議で愛おしい関係性が描かれていて、静かな読後感が心に残ります。
現在の家族ものや家庭菜園漫画とはまた違った、初期ならではの尖った感性を味わえる一冊です。
ちなみに、初期の短編集としては、「楽楽」や「男女」といった作品もあって、これらも素敵でおすすめですよ。
ただ、個人的に「喜喜」が一番空気感が好きなので、今回は「喜喜」を紹介しました。
妖精消失
- 作者:安堂維子里
- 2011年発表
「妖精消失」は、本来交わるはずのなかった人間と妖精が、あまりに近づきすぎてしまった世界を描いたSF×ファンタジー漫画。
青年技術者ととある妖精の出会い、その出会いによって大きく変貌してしまった世界。これらを1巻にまとめ上げた、非常に完成度の高い作品です。
本作の最大の魅力は、物語全体に流れるが美しさ。
妖精がストーリーの中心にいることもあって、まずビジュアルが美しいのですが、それだけではないんです。
ストーリーの運び方や柔らかな雰囲気など、作品全体で美しさが丁寧に作り上げられています。
そしてそこに、悲劇的な出来事や、真に迫った嘆き悲しむ表情といった、暗い部分も添えられていて、それらが作品の美しさをより引き立てているんですよ。
ある意味、大人向けの絵本というポジションの作品だと思いますね。
また、SFとファンタジーが融合した作品ですが、いわゆるSF(少し不思議)系のテイストなので、すごく読みやすいのも本作の特徴。
その読みやすさも、絵本的な印象を与えてくれるんでしょうね。
モーレツ!イタリア家族
- 作者:ヤマザキマリ
- 2006年発表
「モーレツ!イタリア家族」は、マンガ「テルマエロマエ」や、コメンテーターなどで有名なヤマザキマリさんが最初に話題になったコミックエッセイ。
イタリア人の夫とその家族と暮らしていた暮らしを通して、日本人の暮らしとイタリア人の暮らしがどれほど違うのかが描かれた作品です。
まぁ、夫はイタリア人の中では変わっているタイプだし、義母はイタリア人の中でもなかなか個性的な感じなので、典型的なイタリア人の暮らしと言ってもいいのかは、ちょっと判断つかないのですが。
でも、なかなかに大変そうな暮らしをしていたのは伝わってきます。
とはいっても、作者がしっかりバトルでき、かつかなりコメディタッチで描いているので、気軽に読めるようになっているんですけどね。
ヤマザキマリさんの話題作といえばもっと後発の作品なんですが、個人的にヤマザキマリさんの著書と言えば、読んでいる最中に何度も笑わせてもらったこのマンガ!
もし彼女の人生に興味が出たら、かつて詩人と別れてシングルマザーになっていた時代の話や、旅を楽しんでいた時代の話、イタリアから引っ越しした後の話など、別のコミックエッセイに手を伸ばすのもおすすめですよ。
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掲載作品はジャンルも幅広く、日常系からファンタジー、青春、ミステリーまで網羅。
気軽に読めて、読後の満足感も高い“ちょうどいい長さ”の名作揃いです。
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というわけで、1巻で完結するおすすめの漫画を紹介してきました。
長期連載が主流となった今、1巻で完結する漫画は総ページ数こそ少ないものの、その分ストーリーが濃縮され、完成度の高い作品も多くそろっています。限られたページ数だからこそ生まれる濃厚さは、このジャンルならではの魅力ですね。
あらためて、この記事で紹介したおすすめ作品をまとめますと、このようになります。
- さよなら絵梨
- 外天楼
- 邪眼は月輪に飛ぶ
- 金の国 水の国
- 夕凪の街、桜の国
- 喜喜
- RAIDEN-18
- カラオケ行こ!
- 妖精消失
- モーレツ!イタリア家族
いずれも、1巻という制限の中で様々なこだわりを見せてくれる名作ばかりです。
まだ読んでない作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。
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よくある質問(Q&A)
Q1. 1巻完結漫画の魅力とは?
A. 限られたページ数に凝縮されたストーリー展開や、読後の余韻が深く、時間がない方にも読みやすい点が魅力です。
Q2. 1巻完結漫画はどんなジャンルが多いの?
A. 恋愛、ヒューマンドラマ、社会派、SF・ファンタジーなど幅広く存在します。ジャンルごとの魅力が際立ちやすいのも特徴です。
Q3. 電子書籍で1巻完結漫画を安く読むには?
A. セールやクーポンが豊富な「まんが王国」「Kindle」などの電子書籍サービスを活用するのがおすすめです。